公開シンポジウム「民俗学×まち歩き:「一緒に調べる」ことの協働性?創造性?権力性」
INFORMATION
近年、「ブラタモリ」に代表されるように、まち(一定の地域)を歩きながら、地形や川?道路の形状、まち並み、人の暮らしぶりなどに着目し、地域の文化や歴史を知る「まち歩き」が人気を博している。さらに、まち歩きを通じ、地域の魅力の再発見や防災?危険予知をすることは、まちづくりの手法としても注目されている。民俗学においても、調査者自身が歩き調べていくことは重視され、歩き方は、調べ方や地域社会への関わり方としての意味も有している。加えて、民俗学者にとってのまち歩きは、調査だけではなく、博物館等の講座や大学の授業を通じて、まち歩きをしながらその地域の民俗について説明をする機会としても存在する。コーディネーター(山川志典?門田岳久)自身も、まち歩きをしながら、地域の成り立ちや行事、信仰などを説明する機会がこれまでに何度かあった。その際、一方的に解説をするのではなく、「あそこは昔〇〇だった」とか「こことは違ってうちの地区では□□である」といったように、参加者から教えてもらうことも多く、加えて参加者間の対話から新しい発見が生まれることもあった。ここからは、まち歩きは、自身の専門的なまちの見方を伝える場であるとともに、参加者とその場で共に気づきを重ねていくような、一緒に調べる場と捉えることの可能性が見出された。一方で、まち歩きがしやすい場所や注目されやすい対象にまち歩きが偏ることや、「教える側/教えてもらう側」という構造になりやすいこと、さらに行政イベントや教育を前提とした際にできることの限界など、留意すべき点もある。このような関心から、本シンポジウムでは、まちづくりに深く関わる都市計画分野でのまち歩きの議論をふまえながら、民俗学のまち歩きの姿を捉えていくと共に、地域住民や他分野の研究者と「一緒に調べる」ことについても考えていきたい。
講師、コーディネーター
地域遺産リサーチセンター代表研究員、武蔵野美術大学非常勤講師
山川 志典 氏
講師
東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻専任講師
吉江 俊 氏
愛媛大学地域協働推進機構特定准教授
大本 敬久 氏
コメンテーター
上智大学文学部史学科教授
北條 勝貴 氏
九州産業大学国際文化学部日本文化学科専任講師
川松 あかり 氏
コーディネーター
本学観光学部交流文化学科教授
門田 岳久
詳細情報
名称
内容
12:00~13:00 会員総会(会員のみ参加可能)
13:30~17:40 シンポジウム
?趣旨説明「民俗学×まち歩き」について:山川志典氏
?都市計画分野におけるまち歩きの実践と住民参加について:吉江俊氏
?博物館、大学の地域連携活動におけるまち歩きの可能性:大本敬久氏